「アルミは錆びないから手入れいらずでしょ」とよく言われます。半分は当たっていて、半分は危ない思い込みです。鉄のような赤錆は出ませんが、油断すると寿命を縮める要因はちゃんとあります。横手の現場で実際に見てきた範囲で、効くやり方をまとめます。
アルミは空気に触れると表面にごく薄い酸化皮膜を作ります。これが内部を守る蓋の役割をして、鉄のように内側まで腐食が進むのを防ぎます。傷がついても、その部分にまた皮膜ができて自己修復する。これがアルミの一番の強みです。さらに住宅用のフェンスや門扉は、その上から粉体塗装を焼き付けてあります。皮膜と塗装の二段構えなので、普通に使っているぶんには十年単位で持ちます。
ただし、この仕組みが効くのは「アルミ単体で、表面が健全なうち」という条件付きです。ここが崩れると、錆びないはずのアルミでも傷みます。
アルミと、ステンレスや鉄などの違う金属が、水を介して触れ合うと電池のような状態になり、アルミ側が先に腐食します。ガルバニック腐食と呼ばれる現象です。たとえば、手元にあった普通の鉄ビスでアルミフェンスを留めてしまうと、ビスの周りからじわじわ白い腐食が広がることがあります。うちが付属させるビスにアルミ用やステン+絶縁を使っているのはこのためです。後から金具を足すときも、できれば同じ素材かアルミ対応のものを選んでください。「ねじ一本くらい」が意外と効いてきます。
道路に撒く融雪剤や、海沿いの潮風に含まれる塩分は、酸化皮膜にとって相性が悪い相手です。塩分が表面に残ったままだと、皮膜の再生が追いつかず、点状の腐食が出ることがあります。とはいえ対策は単純で、春先に一度、ホースで水をかけて流すだけでだいぶ違います。とくに道路に面した下のほうは塩分が溜まりやすいので、そこを意識して洗ってください。洗剤は中性のものを薄めて使えば十分で、研磨剤入りは塗装を削るので避けます。
飛び石や物をぶつけて塗装が剥げ、下のアルミ地が見えた場合、地のままでもすぐ穴が空くわけではありません。それでも、その部分だけ皮膜と塗装の守りが薄くなっているのは事実です。気になるなら、同色のタッチアップ塗料で点付けしておくと安心です。色はカタログの標準色に合わせて用意できます。大きく剥がれたときは無理に自分で塗らず、部材ごと交換したほうがきれいに収まることもあります。
腐食ではなく、単純な力で痛むケースも横手では多いです。屋根からの落雪が同じ場所に当たり続けて天板がへこむ、吹き溜まりの重みでパネルがたわむ。これは手入れというより設計と置き場所の問題で、落雪の真下を避ける、雪が深い面は柱を増やすといった最初の判断が効きます。すでに建っているものについては、シーズン前に雪の落ち先だけ確認して、必要なら雪割りや補強を入れておくと長持ちします。
長く使ったアルミの表面に、白っぽい粉や斑点が出ることがあります。これは白サビと呼ばれる酸化生成物で、鉄の赤錆のように内部をどんどん侵すものではありません。多くは見た目の問題で、塗装面より、塗装していない地のアルミや切り口に出やすい。気づいたら、固いブラシでこすらずに、中性洗剤を薄めた水でやさしく洗い流してください。研磨で削り落とそうとすると、かえって表面を荒らして次が出やすくなります。広範囲に進んでいて気になる場合は、その部材だけ交換したほうが結局きれいです。水はけが悪く常に湿っている場所ほど出やすいので、植栽の水やりが当たり続ける位置などは一度見直すと予防になります。
毎月手をかける必要はありません。雪が解けた春先に、一度だけぐるっと見て回るので十分です。見るのは四か所。まず、道路に面した下のほうに融雪剤の塩分が白く溜まっていないか。次に、ビスや金具まわりに白い腐食が出ていないか。三つめは、塗装が剥げて地のアルミが見えている小傷がないか。最後に、柱の根元、コンクリートとの境のコーキングが切れていないか。コーキングが割れて水が入ると、見えないところで悪さをします。切れていたら打ち替えるだけで持ちが変わります。どれも数分で済むことばかりで、これをやっているお宅とそうでないお宅では、十年後の見た目がはっきり違ってきます。
マットブラックやブロンズのような濃い色は、外構をぐっと締めて見せてくれる人気の色です。ただ、濃い色は日差しを受けると表面温度がかなり上がります。アルミ自体は熱に強いので問題は出ませんが、真夏の日中に素手でつかむと熱い、という程度のことは起きます。south向きで一日中日が当たる門扉に小さなお子さんが触れる、といった場面が想像できるなら、色の話のついでに頭の隅に置いておくといいです。塗装の持ち自体は色で大きくは変わりません。
やることは多くありません。違う金属を直に触れさせない、春に一度水で流す、小傷は早めにふさぐ、雪の当たる場所を見ておく。この四つを押さえておけば、アルミ外構は本来の十年、十五年という持ちを素直に発揮してくれます。錆びない素材だからこそ、最後は使い方で差が出ます。